音楽療法士

元気に、明るく、笑顔で楽しく。


医療法人 弘仁会 老人保健施設 あすか

伊藤貴子さん 24歳

Itou Takako


出身学校 新居浜市立川東中学校
愛媛県立新居浜東高等学校
徳島文理大学音楽専攻科器楽専攻 音楽療法コース卒

音楽療法とは音楽に幸せを乗せて届ける仕事。

「音楽療法士になる」と思っていました。

 両親が音楽好きで、小さい頃から音楽に携わる仕事がしたいと思っていました。この仕事を知ったのは、中学のとき母から「こんな仕事もあるよ」と雑誌を見せてもらったからです。そのときから、「音楽療法士になる」と思っていました。
 高校では吹奏楽部で毎日練習をし、大学の音楽学部を卒業後、音楽専攻科で1年学んで、音楽療法士の専修免許を取りました。音楽療法士は国家資格ではなく団体の認定資格です。音楽療法士の募集はなかったので、地元の福祉施設に売り込み営業をしましたが、専任の職はありませんでした。ハローワークに通い、音楽療法士の導入を考えている施設を探してもらって、当施設で1年間インターンシップで研修して、採用となりました。就職して1年です。
 専任の音楽療法士はまだまだ少ないですね。当グループの他の福祉施設でも音楽療法を行っています。音楽療法の合間に配膳や送迎の準備などデイケアのお手伝いもしています。介護の知識も身につけたいと思っています。
 中高の音楽の教員免許も持っています。教員にならなかったのは、向いていないから(笑)。私は先生じゃなくて、音楽のお姉ちゃんになりたかったんです(笑)。教えてもらうのはこっちであって、私が教えることはないですね。
 午前中に1回、午後2回のペースで当グループの各事業所の利用者様と入居者様に音楽レクリエーションを行っています。多いときは50人くらい、少ないときは10人くらいで、他に2名の方に個人音楽療法を行っています。

そういうシーンに出会うとやりがいを感じます。

 音楽療法を行う上で一番大事なのが、療法を受ける方が音楽が好きかどうかです(笑)。私が使う楽器は主にキーボードとギターです。歌は童謡や歌謡曲、演歌などです。歌詞カードは自分で作っています。皆さん、昔の歌は歌詞がなくてもソラで歌える方が多いですね。写真を使う場合もあります。音楽は記憶や感情と密接につながっているので、写真を見ると、より記憶が引き出されることがあります。
 一応何を歌って、ここで楽器を演奏してもらって、どんな質問して、というシナリオはありますが、利用者様の反応を見ながら、ちょっと早く切り上げたほうがいいなとか、頭の中で構成を組み替えながらやっています。毎日参加されている方もいらっしゃるので、1ヶ月は同じ曲は使わないように工夫しています。 うれしいのは歌っているときにすごく楽しそうに笑ってくれたり、寝たきりの方が突然パッと目を開いて、大きな声で歌ってくれたり、そういうシーンに出会うとやりがいを感じます。

自分が今できることを精一杯するだけです。

 大学のオープンキャンパスのときに、先生に言われた「音楽療法とは、音楽に幸せを乗せて届ける仕事」という言葉が印象に残っていて、そのとおりだと思っています。今、それができているかと自問しますが、受け取り手がどう思っているか、よく分からないです。ただ、参加してくださる方が私を見て、なんか楽しそうだなと感じてもらえたらいいなって思っています。
 「ここはだめだった」とか、「こうすればよかった」とか、「あまり楽しんでもらえなかったな」とか毎日失敗の連続です。ただ、一人でも楽しみにしてくれる方がいたら、自分が今できることを精一杯するだけです。
 相手は自分を映す鏡。利用者様が無表情だとしたら、私が無表情ということです。大学の実習のときに自分が音楽療法をしている姿をビデオで撮ってみて、「ひどい」と思いました。笑っているつもりでも焦ったり、へこんだりが表情に出ていたんです。自分も楽しみながらやらなきゃと思っています。

進めるところまで進んで行ってください。

 趣味で作曲したり、好きな童謡に伴奏をつけたり、和音を変えて弾くのが好きです。『朧(おぼろ)月夜』とか『うれしいひなまつり』とか『紅葉(もみじ)』など季節の歌が好きです。
 音楽は強要するものではありません。好きなスタイルで、好きなように歌って、好きなように参加してくれたらいいかなと思っています。音楽療法士として、これからも成長できたらいいなと思います。へこむことがあっても、「自分で選んだんでしょ」と自分を叱咤激励しながら一生懸命やっています。
 私は好きで音楽を仕事にしています。好きを仕事にするのは難しいこともありますが、やりがいも喜びも大きくなるのかなと思います。中高生の皆さんには、「自分の選んだ道を信じて、進めるところまで進んで行ってください」とお伝えしたいですね。

 

 

 

 

      

Q.子どものころの夢は?

A.音楽に携わる仕事


Q.仕事内容は?

A.いろんな悩みを抱える人たちが、楽しく笑顔で日々を送っていけるように音楽で手助けする


Q.必要な資格は?

A.音楽療法士(認定資格)


Q.仕事でやりがいを感じたことは?

A.寝たきりの人が大声で歌ってくれたり、言葉の出にくい人が「気持ちよかった」といってくれたり、1人でも楽しみに待ってくれている人がいるとやりがいを感じます


ある1日

7:00 起床

8:10 出勤

9:00 朝礼

準備

11:00 音楽レク

12:30 昼食

13:30 音楽レク

15:00 デイおやつ

16:00 個人音楽療法

17:30 終業

住所 〒791-0505 愛媛県西条市丹原町古田甲167番地1
創業 1998年
従業員数 88名
URL http://koujin.net/index.php

総合的なケアの提供、在宅復帰、在宅生活の支援、地域に開かれた施設、リハビリテーション施設の5つの理念を基に運営を行っています。
「あすか」は、疾病や障害をかかえながらも、“その人らしく生きる”“生活”を大切に考えています。

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